もしものときのために加入しておく保険。近年では、資産形成ができる商品も増えてきました。
万が一のときの保障が受けられるうえに、最終的には払った額よりも多いお金が受け取れるという美味しい話ですが、あまりに美味しい話すぎて不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
資産形成ができる保険は果たしてお得なのか、真実に迫ります。
資産形成ができる保険って?
資産形成ができる保険とは、その名の通り将来のためにお金を貯められる保険のことです。
毎月決まった額のお金を積み立てていき、決められた年まで無事に生きていればお金が受け取れます。商品によっては、確実にお金が増えるものもあります。
万が一途中で亡くなった場合には保険金が支払われるので、生命保険としても利用可能です。
代表的なものには、アフラックの「ツミタス」や、はなさく生命の「はなさく変額保険」があります。
資産形成ができる保険をおすすめできない理由
結論から言うと、これらの保険は貯金や資産形成に苦手意識がある人にはおすすめですが、そうでない人にはあまりおすすめできません。
毎月自動でお金が引き落とされて勝手に運用してもらえるのは大きなメリットですが、それ以外の資産形成と比べるとデメリットも多くあるからです。
主なデメリットを紹介します。
お金が増えにくい
そもそも、「お金を増やす」という観点で言えば、保険はあまり効率的ではありません。
たとえば、アフラックのホームページによると、ツミタスに30歳男性が加入して毎月7,850円の保険料を払った場合、30年間保険料を払って60歳で解約すると約75万円増えるそうです。(※2025年9月現在)
280万円ほど払って75万円増えると言われるととても得をした気分になりますが、30年も経っているのに75万円しか増えていないとも言い換えられます。
積立投資で人気の投資信託は、平均利回りが3%から10%と言われています。仮に3%の利回りだったとしても、同じように積み立てた場合、30年後には167万円増える計算です。2倍以上増えていますね。
物価が日々上昇しているこの世の中、30年後にはお金の価値が今よりも下がっているかもしれません。30年経って75万円増えたところで、物価上昇に追いつけない可能性もあります。
途中で解約すると損をするケースがある
保険には解約の際にお金がかかるものがあり、資産形成ができる保険も例外ではありません。
たとえば、アフラックのツミタスの場合、保険料を払っている期間中に解約すると戻ってくるお金は払ったお金よりも少なくなってしまいます。
はなさく生命のはなさく変額保険は、名前の通りもらえるお金が変動する仕組みで、運用実績によっては払ったお金より少なくなるケースがあります。また、契約から10年以内に解約すると解約控除としてお金が差し引かれます。
人生は何が起こるか分からないので、急にお金が必要になる場面があるかもしれません。必要な時に気軽に引き出せないのはデメリットです。
保障が不十分なことがある
お金が増えなくても途中で引き出せなくても、もしものときのために使えれば問題ないと思う人もいるでしょう。しかし、保険としての保障が不十分な商品もあります。
アフラックのツミタスの場合、保険料を払っている期間に亡くなった場合の死亡保険金はこれまで払った保険料と同額です。ちょっと心もとないですね。
はなさく変額保険は払ったお金より多い死亡保険金を払ってくれますが、月日が経つごとに払った額が死亡保険金の額にどんどん近づいていくので、実質的な保障が徐々に減っていきます。
保障が欲しいだけなら、普通の死亡保険に入った方がより少ない保険料で万が一に備えられます。
資産形成ができる保険が向いている人
とはいえ、資産形成ができる保険にも良い点はあります。一番のメリットは、お金を強制的に積み立てて増やしてくれることです。
一人だとどうしても甘えが出てなかなか貯金ができない人は、貯金ができるようになるだけで偉いので、これらの保険の利用を検討してもいいと思います。
また、お金は増やしたいけれど投資に苦手意識がある人にもおすすめです。資産形成ができる保険は途中で解約しなければお金が絶対に増える商品もあるので、普通預金をしておくよりはマシです。
手間を外注するか自分でやるか
ここまで散々保険のことを悪く言ってきましたが、保険会社も悪気があってこのような商品を売っているわけではありません。
保険会社は、人件費や広告費などを売り上げでまかなう必要があります。そうしないと利益が出ないので、商売としては当然のことです。結果として、保険よりも自分で投資した方が効率が良くなります。
保険よりも自分で投資した方が効率が良いのは、ガソリンスタンドとよく似ています。
セルフのガソリンスタンドは費用が安い分、なんでも自分でやらないといけません。それに対して、店員さんが給油してくれるガソリンスタンドは、全てやってもらえる代わりに費用が高くなります。
資産形成ができる保険も仕組みは全く同じで、自分で投資してお金を増やすか、保険会社に依頼してお金を払うかの選択です。
自分に合った方法で資産形成を進めましょう。



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