何もかも値上げに次ぐ値上げ、それなのに給料は上がらないし社会保険料は増えていく。なんかどこかにお得な情報がないかしら……。
そんな風に思っている方におすすめしたいのが、株主優待です。株を持っているだけで色々もらえるという非常にお得な制度で、投資のこととかよくわからないという初心者の人でも始められます。
とはいえ、美味しい話には裏があるというもの。株主優待に踊らされることなく、上手に使いこなしてお得ライフを満喫する方法を紹介します。
株主優待って?
株主優待を非常にざっくり説明すると、会社からの感謝の気持ちです。
会社の一部は株式という券を発行して、「会社を運営する権利を一部あげますから、誰か買ってください」と呼びかけます。
それを見た人が「じゃあお金をあげようかな」と思って株式を購入し、会社にお金をあげます。この株式を購入した人が株主です。
会社からしたら、株主は自分にお金をくれたありがたい人です。なので、ありがとうの気持ちを込めてプレゼントを贈ることもあります。これが株主優待というわけです。

株主優待でもらえる優待の内容は会社によって異なりますが、割引券や無料利用券などの自分の会社のサービスに関連するものや、全国で使えるギフトカードなどが選ばれることが多いです。
会社の業績が良いなどの条件を満たせば配当金というお金も受け取れるので、うまくいけば配当金と株主優待とでダブルでお得になれます。
株主優待の注意点
株を買うだけで優待がもらえるお得な株主優待ですが、注意しておきたい点もいくつかあります。
株をたくさん買う必要がある
株主優待を受け取るには決められた数以上の株を買う必要があります。必要な数は会社によっても異なりますが、100株以上と決めている会社が多い印象です。
そもそも、皆さんは株がどれくらいの金額か知っていますか?
これもまた会社によって数十円~数万円と大きく変わるのですが、スクエニこと株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスだと、執筆時点で1株2,400円くらいです。
スクエニも優待を受け取るには100株以上保有していなければいけないので、最低でも24万円分の株を買う必要があります。
ちなみに、100株買った年にもらえるのは500円分のクーポンと株主限定グッズの抽選券で、クーポンは3年以上保有していると1,500円分まで増えるそうです(※2026年2月現在)。
ファンからすれば気になる優待ですが、そのために24万円必要と言われるとちょっと身構えてしまう人もいるかもしれません。
全部の会社に優待があるわけではない
株主優待は魅力的な制度ですが、全部の会社が優待を用意しているわけではありません。別に法律で定められているわけでもないので、むしろ優待を用意している会社のほうが少ないくらいです。
たとえば、我々ゲーマーが普段お世話になりまくっている任天堂株式会社には株主優待がありません。そのかわり、持っている株の数と業績に応じて株主に配当金を支払っています。
株主優待がない企業が悪いというわけではなく、株主優待をなくすかわりに配当金を増やしている会社もあるので、優待がないからといって悪く言わないであげてください。
優待がなくなる可能性がある
現在優待がある会社も、今後ずっと優待が続くとは限りません。
優待がいいからと思って株を買っても、ある日突然優待がなくなったり、優待の内容が悪くなったりする可能性があります。実は、優待の変更や廃止は近年増加傾向にあり、珍しいケースではありません。
たとえば、カタログギフトの優待が人気だったオリックス株式会社は、2024年3月をもって株主優待を廃止し、株主への還元を配当金に集約すると決めました。
「大企業だから大丈夫」、「人気があるからなくならないはず」などという考えは株主優待には通用しません。
お得な優待がある会社を選ぶのももちろん大事ですが、今後優待がなくなったらどうするのかも考えておきましょう。
株価が変動するリスクがある
株の値段は景気などさまざまな要因によって変化し、大きく上がることもあれば暴落することもあります。数十万円で買った株が半分の価値になってしまう可能性があることも知っておきましょう。
さらに悲惨なのが、会社が倒産したときです。会社が倒産すると、その会社の株は無価値になります。
もし会社が倒産したら、その会社で働いていた人への給料や税金などが優先的に支払われ、お金が残っていれば株主にもお金が支払われる仕組みです。
しかし、倒産するような会社にそんなお金が残っているはずがないので、大半は株主には何もお金が支払われないまま倒産の手続きが終了します。
「株主は優先してもらえないのか」と怒りたくなる気持ちもわかりますが、実は株を購入する際に支払われたお金を返済する義務は企業にはないので、株を買う側がリスク管理をする必要があります。
株主優待を使いこなすには
では、お金の心配や優待が続くかどうかの不安に負けずに株主優待をエンジョイするにはどうすればいいのでしょうか。
快適お得株主優待ライフを満喫するためのポイントを紹介します。
自分がもらってうれしい優待の株を買う
株主優待で失敗しないためには、自分がもらってうれしいと思える優待の株を選びましょう。
たとえば、ショッピングモールでおなじみのイオン株式会社の株主優待は、イオン系列の店舗で買い物した分が一定額キャッシュバックされるというものです(※2026年2月現在)。
このキャッシュバックはイオンをよく利用する人には大人気ですが、それに対してイオンをあまり使わない人にとってはそれほど魅力的ではありません。
近くにないレストランの食事券や使わない自社商品をもらうくらいなら、多少お得度が下がっても自分のほしい優待を受け取ったほうがよっぽど幸せなはずです。
せっかくなら、好きなサービスや普段お世話になっている会社の株を買って、「優待も大事だけど、それはそれとしてこの会社のことは応援したいな」と思えると良いですね。
なくなったら困るお金を使わない
これは投資全般に言えることですが、なくなったら困るお金で株を買ってはいけません。
お金がなくなったらそれは誰だって嫌な思いをしますが、ここでは「このお金が今消えてしまっても生活に支障が出ないか」を考えてください。
たとえば、銀行口座に300万円くらい入っていて口座残高が毎月数万円ずつ増えている人であれば、口座から20万円が消えても嫌な思いはしますが生活に支障はありません。
それに対して、貯金がなく給料の20万円でやりくりしている人の場合、20万円が消えたら生活ができなくなってしまいます。
このように、生活に必要なお金や近い将来必要になるお金は株の購入に回すべきではありません。なくなったら嫌だけど困りはしないお金で優待を楽しみましょう。
安いところから始める
なくなっても生活に困らないお金とはいえ、いきなり数十万円のものを買うのは勇気がいるものです。そんな人は、まずは安い金額で優待がもらえる株から始めてみると良いでしょう。
先ほど例にあげたスクエニは優待を受け取れるまで約24万円かかりますが、世の中には1万円ちょっとで優待がもらえる会社もあります。1株100円くらいの会社もあるからです。
たとえば、NTT株式会社の執筆時点での株価は1株150.8円。100株買っても1万5,000円ほどで、2年以上持っているとdポイントが1,500ポイント、5年以上なら3,000ポイントもらえます(※2026年2月現在)。
急に24万円はハードルが高くても、1万5,000円くらいなら試しに買ってみてもいいかもと思いませんか?
株価が安いタイミングを狙う
そこまで高くない株だとしても、せっかくなら安く買いたいと思うのは当然のことです。そこで、株価が安くなるタイミングを狙って買うのもおすすめです。
「いやいや、株価の予測なんて難しいし……」と思ったそこのあなた、ご安心ください。実は株主優待がある会社の株は安くなりやすいタイミングがあります。
それがずばり、優待の権利が確定したタイミングの後です。
大前提として、株の値段はみんなが欲しがって買う人が増えると上がり、みんなが要らなくなって売る人が増えると下がります。社会科の授業で習った需要と供給というやつです。
株主優待は「この日までに持っていた人が優待の対象ですよ」という日がそれぞれの会社で決まっています。もしこの日が3月31日だった場合、2月に買っていようと3月30日に買おうと、極端な話当日に買っても対象です。
そのため、人気の高い優待がある企業の株は「優待の権利が確定する日までに買おう」と思う人が増え、確定する日までにじわじわと株価が上がることがあります。
それに対して、その日を過ぎてしまえば「もう持ってなくていいから売っちゃおう」と思う人が増えるので、株価がストンと下がるケースもあります。

そこで、とにかく安く買いたい人は、優待の権利が確定した日以降の株価が安くなったタイミングで買うと良いというわけです。優待がもらえるまでは時間がかかりますが、安くは買えます。
このテクニックを使う場合、権利が確定する日を確認しておきましょう。タイミングは会社によってさまざまで、年に1回だったり複数回だったりします。
また、権利が確定する日の前後でどんな風に株価が変化していたのかを確認しておくのもおすすめです。「〇〇 株価」などで検索すれば過去の株価のグラフを確認できます。
株価はさまざまな要因で変化するので、過去に株価が安くなっていたからといって今回も必ず安くなるとは限りませんが、とにかく安く買いたいと思う人にはおすすめのテクニックです。
株主優待ライフの始め方
株を買うとなるとハードルが高いように感じるかもしれませんが、実はそれほど手間をかけずに株主優待ライフを始められます。
- Step 1証券口座の開設
証券会社を選んで口座を開設
- Step 2購入する株の選定
株主優待が魅力的な会社を選ぶ
- Step 3株の購入
優待の権利が確定する日を確認して購入
- Step 4優待の受け取り
権利が確定してから2~3か月後に届くことが多い
株主優待ライフを始めたいと思ったら、まずは証券口座を作りましょう。株を買うには、証券口座と呼ばれる特別な口座が必要です。給料の振り込みなどに使っている普通口座では買えません。
証券口座は証券会社に申し込めば作れます。証券会社は特にこだわりがなければネット証券にするのがおすすめです。店舗がある会社よりも手数料などがリーズナブルです。
開設にはマイナンバー確認書類や本人確認書類、金融機関の口座番号などが必要ですが、基本的にホームページやアプリに掲載されている説明に従っていれば問題ありません。
本人確認や審査が完了すれば口座が開設され、株の取引ができるようになります。自分のほしい優待がある会社を吟味しておきましょう。必要な株の数などの条件の確認もお忘れなく。
買う株が決まったらついに購入です。証券口座に株が買えるよりもちょっと多めのお金を入れ、購入ボタンを押します。なるべく安く買いたい場合は、しっかりと株価の値動きもチェックしておきましょう。
優待の権利が確定する日まで株を持っていたら、見事権利ゲットです。おめでとうございます。優待が届くまでは2~3か月かかることが多いので、気長に待ちましょう。
ちなみに、優待の権利が確定したら株は売っても構いません。高いときに売って差額で儲けるのも良し、そのまま持ち続けて優待をもらい続けるのも良し。あなたの資産なのでご自由にどうぞ。
優待がなくても応援したくなる会社が理想
個人投資家に人気の株主優待ですが、記事でも触れたとおり、近年では廃止する会社も増えてきました。今優待が受け取れている会社でも、この先ずっと優待が続くとは限りません。
そんな中でできれば避けたいのは、「優待がないならなんでこの株を持っているんだろう」と感じてしまうことではないかと私は思います。
株主優待が目的で買った株だとしても、「優待を抜きにしてもこの会社は応援したい」と思える会社に出会えると良いですね。



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