このサイトでは度々「投資を始めたいならまずは投資信託から始めるといいよ」と紹介しています。
とはいえ、一口に投資信託と言ってもたくさんの種類があります。それぞれの特徴がわからなければ、どれを選べばいいのかもわからないのは当然のことです。
そこで今回は、人気のある投資信託の1つであるオルカンについて解説します。
オルカンとは
オルカンは投資信託の1つで、正式名称を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といいます。
オール・カントリーの部分を略して「オルカン」という愛称がついているわけですね。ちなみに、「オルカン」は運営元である三菱UFJアセットマネジメント株式会社の登録商標です。
その名の通り全世界の株式に投資していて、世界の株価と連動して値段が変化します。世界の株価が上向けば同じくらい上がり、世界の株価が下がると同じくらい下がるといった仕組みです。
オルカンが人気の理由
オルカンはとにかく人気がある投資信託で、純資産総額は11兆円以上(2026年5月21日現在)と、国内でもトップクラスのお金を集めています。
では、なぜオルカンはこんなにも多くの人から選ばれているのでしょうか。
全世界に投資できる
オルカンの大きな魅力は、買うだけで全世界に投資できることです。
投資で大きな失敗をしないためには、分散投資という考え方が欠かせません。異なる資産に投資しておけば、どれか1つの価値が暴落したときでも他の資産で損失をカバーできます。
分散投資の重要性は、しばしば卵にたとえられます。たとえば、生卵をかごに入れて運んでいるとしましょう。全部同じかごに入れていると、うっかり転んでしまったときにすべて割れてしまいます。
それに対して、複数のかごに入れて別々に運んでいれば、もし転んでも割れるのはそのとき運んでいたかごに入っている卵だけです。残りのかごの卵は無事なので、生卵が全滅する心配はありません。
分散投資もこれと同じで、かごを分けるように複数の資産に投資しておけば、何かあったときでもリスクを軽減できるというわけです。
オルカンは全世界の株式に連動しているため、もし特定の国の株価が暴落しても他の国がカバーしてくれます。つまり、我々が何もしなくても勝手に分散投資をして損失のリスクを減らしてくれるのです。
そのうえ、もしどこかの国が経済成長を果たして株価が一気に上がった場合でも、オルカンはちゃんと値上がりしてくれます。
投資初心者はどの国の株価が上がるかなんてわからないので、何も知らなくても全世界の株価に連動してくれるオルカンは強い味方です。
手数料が安い
オルカンは手数料が安いので、せっかく増えた自分の資産を減らさずに済みます。
世界中の株式に投資できる投資信託はオルカン以外にもいくつかありますが、オルカンはそのなかでもトップクラスの手数料の安さを誇ります。助かりますね。
具体的には、持っている投資信託の額の0.05775%(2026年5月)が毎年かかります。仮に120万円を1年間オルカンに投資した場合、手数料は1年で約693円という計算です。
安すぎて申し訳なくなるレベルの金額ですが、この手数料の安さを実現できるのはオルカンの大きな魅力だと言えます。
規模が大きい
オルカンは11兆円以上を集めている規模の大きな投資信託なので、安心してお金を任せられます。
投資信託は集めたお金を投資して増やしているので、お金があまり集まっていない場合は運営に支障が出ます。最悪の場合、「運用をやめるのでお金を返します」と宣言する事態になるかもしれません。
その点、オルカンほどの規模の大きい投資信託ならお金がたくさん集まっているので、安定した運営が期待できます。
また、運用にかかるコストの割合を下げられるというスケールメリットが働くのも魅力の1つです。
どんな投資信託でも運用にはお金がかかりますが、規模が大きくなればなるほどその割合は圧縮できます。運用にかかるお金は、投資信託の規模が数倍になってもそこまで大きくは増えないからです。
「手数料が安い」というオルカンのメリットは、この規模の大きさのおかげでもあります。
オルカンの注意点
低コストで世界中に分散投資できる点から人気が高いオルカンですが、注意したい点もあります。
オルカンを買うかどうか考えている人は、注意したい点もしっかり把握しておきましょう。
アメリカの割合が高い
全世界に投資できるオルカンですが、全世界に均等に投資しているわけではありません。
2026年5月現在、オルカンの投資先は89.2%が先進国です。もっとも割合が高いのがアメリカで、全体の64.7%と、3分の2近くをアメリカが占めています。
アメリカが経済の中心なのでこの比率になるのは仕方がないことではありますが、アメリカ経済が停滞すると悪影響を受けるという点には注意が必要です。
効果的な分散投資ができない
オルカンは分散投資ができるのが魅力ですが、オルカンしか持っていない状態では効果的な分散投資ができません。
オルカンの投資先はたしかに全世界ではあるものの、6割以上をアメリカが占めていて、アメリカ経済の影響を大きく受けるからです。
アメリカ経済が悪化するとオルカンが値下がりするリスクがあるため、より効果的な分散投資をするのであれば、アメリカ株とは異なる値動きをする資産を購入すると良いでしょう。
お金が減る可能性がある
オルカンはお金が増える可能性がある一方で、買ったときよりも価格が安くなって損をする可能性もあります。これはオルカンに限った話ではなく、投資信託では避けて通れない問題です。
オルカンを買えば必ず儲かるわけではないという点は理解しておきましょう。
オルカンとの上手な付き合い方
オルカンはたしかに人気になるだけの理由がある投資信託ですが、万能というわけではありません。お金を増やすために重要なのは、オルカンと上手に付き合っていくことです。
オルカンと上手に付き合うコツを紹介します。
とりあえず買ってみる
投資をなかなか始められない人のなかには、「今買ったら損するかもしれない」「下がったときに買ったほうが得」などと考える人もいます。
投資を始めるかどうかの基準は人それぞれで正解はありませんが、一般的に投資信託は早めに買っておいたほうが得です。
投資信託を持っていると、順調にお金が増やせている場合は分配金というお金を受け取れます。分配金はそのまま受け取ることもできますが、その投資信託を買うことも可能です。
仮に、1万円分につき500円が年に1回分配金としてもらえる投資信託があったとしましょう。(※実際の分配金の仕組みはもっと複雑なので、あくまでもイメージです。)
1年後の値段は10,500円ですが、2年後になると11,025円、3年後には11,576円と、1年ごとに分配金が増えていきます。このまま増えていくと、10年後には16,289円になる計算です。
お金が年500円よりも多いペースで増えていくのは、分配金が新たなお金を生み出しているからです。最初は500円しかなかった分配金が雪だるま式に増えていき、10年で6,000円以上増えました。
ちなみに、同じ条件での30年後は43,219円と、いつの間にか当初の1万円の4倍以上にまで膨れ上がります。とにかく長く保有していたほうが生み出されるお金が増えるので、早めに買っておいたほうが得というわけです。
オルカンに限らず、投資信託は100円からでも購入できるので、迷ったらまずは買ってみてもいいでしょう。
長い目で見る
オルカンの価格は日々変動していて、いきなり高くなる日もあればがくっと下がる日もあります。
重要なのは、多少安くなっても売らず、長い目で見て保有し続けることです。一時的に安くなってもまた回復する可能性があるので、慌てて売ってしまうと損をする可能性があります。
とりあえず10年くらいは持ち続けるつもりで、じっくり付き合っていきましょう。放置しすぎるのも良くないですが、数カ月に一度くらい様子を見るくらいがちょうどいいです。
NISAを活用する
NISAとは、少額の投資であれば税金がかからない制度です。投資でお金が増えると2割くらいが税金として引かれるところ、NISAであれば税金がかからないので、増えたお金を全部受け取れます。
長期間持ち続ける投資信託とは相性がいいので、オルカンを買うならNISAの口座を作るのがおすすめです。口座の開設方法など、詳しい話は以下の記事でどうぞ。5分くらいで読めます。
ちなみに、「少額の投資」と言いましたが、NISAでは非課税になる額の上限が決まっています。なんとその額、1,800万円。この限度額を気にしなきゃいけないくらいまでお金を増やしたいものですね。
他の資産を組み合わせる
オルカンはアメリカ経済の影響を受けやすいので、よりお金を増やしたい人やなるべく損をしたくない人は、それ以外の資産と組み合わせるのがおすすめです。
たとえば、金はオルカンと異なる値動きをする傾向があるため、オルカンとの分散投資先として活用されています。
オルカンを運営している三菱UFJアセットマネジメント株式会社もこのことを把握しているようで、公式Xでオルカンと金の組み合わせについて紹介していました。
三菱UFJアセットマネジメント株式会社のポストによれば、オルカン7割とファインゴールド(金に投資する投資信託)3割を組み合わせた場合、オルカン10割と比較してリスクが軽減されるうえにリターンも向上するそうです。
金は希少性の高さから安全資産として知られており、景気が悪くなると買う人が増えるので値段が上がりやすいため、景気が悪くなると値段が下がりやすい株価に連動するオルカンと組み合わせる人も多くいます。
また、債券もオルカンとの組み合わせにおすすめです。債券も景気が悪くなると値段が上がりやすい資産なので、オルカンと異なる値動きをすることがあります。
景気が悪くなると値段が下がるというのも変な話だと思うかもしれませんが、これは債券が「そこまで増えないけど発行元が破綻しない限りはお金が戻ってくる」という性質だからです。
業績が良くなればお金が一気に増えるけど、場合によっては損をする株式と比べると、債券は損をする可能性が低くて安全な資産だと言えます。だからこそ、景気が悪くなるとみんな債券をほしがり、価格が上がるのです。
これ、何かと似てませんか? そう、金と同じです。人は景気が悪くなると安全性の高い資産をほしがるので、金や債券など安全な資産の価格が上がるのです。
というわけで、効率的に分散投資をしたいけどどう組み合わせればいいかわからない人は、金や債券のように安全性が高く、値動きがオルカンと逆になりやすい資産の購入を検討しましょう。
それ以外にも、アメリカ以外の地域に投資する方法もあります。ヨーロッパや日本など、アメリカ以外の国や地域に連動する投資信託を組み合わせれば、アメリカ経済が落ち込んだときのリスクを軽減できます。
これ以外にもさまざまな組み合わせ方があるので、投資に慣れてきたら自分だけのデッキを作ってみましょう。
人気があるのも納得
オルカンは日本トップクラスの人気を誇る投資信託です。これ1つで全世界に投資ができて、そのうえ手数料もやすいのだから、ここまで人気があるのもうなづけます。
とはいえ、オルカンだけだと万が一のときにお金を減らすことになるかもしれないので、なるべく損をしたくないなら対策は必須です。
オルカンと上手に付き合って、ハッピーな投資ライフを送りましょう。



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